世界が注目するコロンビアコーヒーの“いま”──ロハスビーンズと生産者たちの挑戦
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スペシャルティコーヒーの世界で、いま最も熱い注目を集めるのがコロンビア。その背景には、伝統と革新を融合しながら、高品質なコーヒーを世界へ届けている生産者たち、そして彼らを支えるコネクターの存在があります。
本シリーズでは、世界大会で使用されるトップロットを生み出すエル・ディビソ農園やラス・フローレス農園の生産者、そして彼らと深く関わるスペシャルティ専門輸出業者ロハスビーンズにフォーカス。
Part1〜Part4にわたり、生産・品質・プロセス・販売のリアルな最前線を丁寧に掘り下げていきます。
【Part1】世界のトップバリスタが選ぶコーヒーの源流に迫る
スペシャルティコーヒーの世界で、今もっとも注目を集めるコロンビアの生産者たち──エル・ディビソ農園のネストルさん、ラス・フローレス農園のジョアンさん。そして彼らとともに品質管理から輸出までを担うロハスビーンズのカンポスさん。世界大会で選ばれるその理由と彼らの哲学に迫ります。
■ 世界の舞台で愛される「エル・ディビソ」のコーヒー
WBC釜山大会で優勝したミカエル選手、そしてJBCでもセミファイナリストの多くが選んだことで話題となったエル・ディビソ農園。オーナーのネストルさんは、生産者として世界中のバリスタに信頼される存在です。
今回の来日中、SCAJ展示会では観客席から自身のコーヒーが競技ステージで使用される様子を目の当たりにし、強く心を動かされたと語ります。
「言葉は通じなくても、準備をしているバリスタの情熱は伝わってくる。自分の名前が呼ばれ、コーヒーが語られている。その瞬間、すべてが報われる気がした。」
■ 「つなぐ人」としてのロハスビーンズの役割
ロハスビーンズのカンポス氏は、農園と世界のマーケットを結ぶコネクターとして、品質管理、物流、輸出入、さらにはカフェへ届く一杯に至るまでをサポート。現地での試験・発酵プロトコルの開発からバリスタとの橋渡しまで、コーヒーが届く全工程を包括的に担っています。
「単に“売る”のではなく、関係性を築く。コーヒーには“人とのつながり”がある。」
■ ジョアンさんが語る、家族とともに築いた農園の変革
3代続く農園を受け継ぎながら、ジョアンさんは母親の教えを通じて、品種・プロセス・情報のアップデートに挑んできました。
「母は“今のままではスペシャルティに通用しない、新しいことを学びなさい”と教えてくれた。」
情報をクローズドにしがちな生産者が多い中で、試験や知識を惜しみなく共有し、農園を進化させてきた姿勢が、多くのバリスタからの信頼につながっています。
■ 情熱の循環が「特別な一杯」を生み出す
ネストルさん、ジョアンさん、カンポスさんの3名は、それぞれの立場からスペシャルティコーヒーの品質と体験価値を高めるために日々挑戦を続けています。
それは、ただ美味しいだけではない、「背景のある一杯」──世界中のバリスタがその味に惹かれ、ステージで選ぶ理由は、まさにそこにあります。
【Part2】“特別”を創り出すために──品種選定と革新的プロセスの裏側
世界の競技会で注目されるコーヒーは、どのように生み出されているのか?
Part2では、コロンビアの先進的な生産者たちがどのように挑戦を重ね、マーケットのニーズに応えながら、自らの個性を世界へ届けているのか。その真髄に迫ります。
■ コロンビアにおける“ナチュラルプロセス”のパイオニア
かつて「ナチュラルプロセス」はコロンビアにおいて一般的ではなく、生産者が導入を試みても市場からの理解を得られない時代がありました。
そんな中、エル・ディビソ農園はその可能性を信じ、繰り返しの試験と記録を積み重ねながら、独自のプロセス開発を推進してきました。
「カフェはガストロノミー(料理)のようなもの。レシピを工夫することで、誰もが自分だけの一杯をつくることができる。」
■ テロワールを最大限に生かすための技術革新
特筆すべきは、“乳製品のパスチャライゼーション(低温殺菌)”に着想を得た「クエンチプロセス」。熱湯で洗うことで発酵を止め、コーヒーのエッセンスを閉じ込めるというユニークな技術は、農業と食品加工の垣根を越えた応用の成果です。
さらに、「ゼロ発酵プロセス」にも着手。あえて発酵を施さず、テロワールそのものを表現するアプローチにより、プロセスが味わいに与える影響を浮き彫りにしようとしています。
■ バリスタとの“共創”が市場を導く
彼らの革新は、単なる技術追求ではなく、バリスタとの緊密な対話から生まれています。
ミカエル選手がWBCで使用したコーヒーも、バリスタの要望から生まれた“カスタム設計品”。求める味わいに応じて発酵時間やプロセス設計を調整できるのは、膨大なログ管理と知識の蓄積があるからこそ。
「“もっと酸を出したい”“もっと甘さを強調したい”──バリスタの声が、私たちの研究と表現を前へ進めてくれた。」
■ 品種の刷新がもたらしたブレイクスルー
スペシャルティコーヒー市場が“新しさ”を求める中、彼らは栽培品種そのものの見直しにも積極的です。
標高や気候に適した品種を選び直し、ジャバ、タビ、ピンクブルボン、チロソ、アヒ、ゲイシャなどの高付加価値品種を導入。独自のプロセスと掛け合わせてユニークなコーヒーの創出が可能になりました。
■ これからのミッション──持続可能性と地域共創
ラス・フローレス農園では現在、2つの柱を掲げて次世代に向けた取り組みを進めています。
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Vision(ビジョン)
革新的なプロセスと品種開発を通じ、より多様なロースター・インポーターとつながり、持続可能で強固な生産体制を構築すること。 -
Mission(ミッション)
自身の知識と経験を、これからの小規模・中規模生産者に伝えること。彼らが「次の主役」となれるよう、教育と共有の機会を生み出すこと。
「美しい森をつくり、伝統を尊重しながらも、新しいやり方に耳を傾ける。私たちの役割は、未来を育む“つなぎ手”であること。」
【Part3】ロハスビーンズとは何者か──生産者と世界を結ぶコネクターの哲学と挑戦
WBCやJBrCなど、世界の競技会で高い使用率を誇るコロンビアのトップ農園。その陰には、ロハスビーンズという存在があります。
Part3では、その中心人物であり、創業者でもあるカンポスさんにフォーカス。輸出業者としての歩み、生産者との信頼関係、そして世界市場に広がる展望について、1対1で深掘りしていきます。
■ 有機コーヒーから始まった挑戦
カンポスさんがロハスビーンズを立ち上げたのは2010年。それ以前は、日本でコロンビアの有機食品を専門に扱う「ダボンオーガニックジャパン」を運営し、UCCをはじめとする大手ロースターへの供給も経験していました。
「当初はコロンビアのオーガニックコーヒーの流通が極めて少なく、最初に日本に紹介できたことが誇りでした。」
しかし5年前、有機市場において生産者への報酬が十分でない現実を目の当たりにし、スペシャルティコーヒー市場へ本格参入。高品質・高付加価値を実現する新たなモデルに舵を切りました。
■ スペシャルティの成功を支える「教育」と「理解」
エル・ディビソやラス・フローレスといった農園が、世界中のバリスタから選ばれる理由。
その背景には、生産者自身の深い学習と記録・分析の積み重ねがあるとカンポス氏は語ります。
「彼らはプロファイルがどこから来ているのかを理解している。売ることより、理解することを優先しているんです。」
ロハスビーンズの調達・品質チームも、単なるバイヤーではなく“理解者”として現地に深く関わることで、生産者の挑戦を支えています。
■ 真の「つながり」が市場を広げる
スペシャルティコーヒーにおいて、カップの中身だけでなく、情報のオープン性と共有姿勢が重要な価値になります。
「味の秘密を隠すのではなく、発酵プロセスも品種も、積極的に周囲の農家や若い世代に共有しています。」
かつてのコーヒー農園が、競技会で使用されることを喜びながらも詳細な情報を開示しなかった事例とは対照的に、ロハスビーンズは“開かれた姿勢”によって世界との接点を拡げてきました。
■ 売れるコーヒーに必要なのは、品質だけじゃない
「どんなコーヒーも売ることはできる。問題は“高く売れるかどうか”だ」と語るカンポスさん。
その鍵は次の3つ:
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品質とプロセスの設計
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生産者の意識・態度の変革
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バイヤーと直接つながる“発信力”
「街の仲介業者にパーチメントを売って終わり──その従来の仕組みから抜け出せるかが分かれ道です。」
■ 世界へと拡がるコロンビアの魅力
現在ロハスビーンズは、日本・アメリカに加え、シンガポール、マレーシア、インドネシア、サウジアラビア、カナダ、ヨーロッパ各国など、積極的に新市場を開拓中。
「複雑なプロファイルを正しく伝えるには、現地での説明やカッピングセッションが不可欠。だからこそ、地道なプロモーション活動が大切です。」
コーヒーの味と価値を世界に伝えるため、現地に足を運び、対話を重ねるその姿勢が、確かな信頼とブランド構築へとつながっています。
【Part4】誰にでも届く、コロンビアの豊かさ──ロハスビーンズの販売戦略とアジア展開
Part4では、アジアブランチマネージャー・藤波さんを迎え、ロハスビーンズの販売体制、取り扱い商品、購入方法など、「どう手に入れるか?」にフォーカスした実践的な内容をお届けします。
■ 幅広いラインナップが魅力
これまでの動画では、競技会向けのトップロットに注目が集まりましたが、ロハスビーンズが取り扱うコーヒーはそれだけではありません。
オーガニックからスペシャルティまで、日常使いできるクリーンで美味しいコーヒーも幅広く取り扱っています。
「毎日飲むコーヒーだからこそ、きれいで、飲み飽きず、美味しいものを届けたい。」
藤並さんが語るように、日常に寄り添う“ユニークでクリーン”なコーヒーこそが、ロハスビーンズのもう一つの軸です。
■ 購入方法とカッピング会
ロハスビーンズのコーヒーに興味がある方は、下記の方法で購入・相談が可能です。
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メールでの問い合わせ
info@lohasbeans.jp
に「生豆購入希望」などを記載してご連絡ください。 -
公式ウェブサイトからのコンタクト
商品情報や問合せフォームからアクセス可能です。
さらに、年に数回開催されるカッピング会にも注目です。
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プレオーダーカッピング会
生産国から届いたばかりのオファーロットを先行で体験し、予約購入が可能。 -
アライバルロットカッピング会
実際に輸入されたロットを確認しながら、即購入・出荷できるイベント。
「誰よりも早く、今のコロンビアを知るなら、プレオーダーカッピング会がおすすめです。」
■ アジアから世界へ、拡大するネットワーク
ロハスビーンズは現在、日本を中心に、アジア各国(シンガポール、マレーシア、インドネシアなど)や中東、欧州、カナダなどへも市場を拡大中。
複雑なフレーバーをもつマイクロロットの魅力を正確に伝えるため、現地でのカッピングや説明会にも積極的に取り組んでいます。
■ 業界プロフェッショナルへ向けたメッセージ
最後にカンポス氏から、コーヒー業界のプロフェッショナルへ向けた熱いメッセージが送られました。
「コロンビアは、若い世代の生産者たちが新しいプロセスを取り入れ、大きな変革の時を迎えています。
品種もプロセスも、今まで日本で味わえなかったようなコーヒーがこれから届くでしょう。」
さらに、「COUZOUのみなさんと一緒に、生産地を訪問し、より深いつながりを築いていきたい」と、日本のロースターやバリスタを現地に招く構想にも触れました。